モノづくりプロジェクトリーダーや管理職のための資料造り
例えば生産ラインの新設や切り替え、新規の機械をオリジナルに考えていくようなリーダーの方は、常に上司やトップに対しての同意を得たり報告を書かすことができません。また、部下や他部署、協力会社に対して効率よくタイムリーに自分達の意思を伝えて、仕事を一方向に進めていく必要があります。簡潔に資料を作成、説明して行動せねばなりません。まさにパニック状態です。資料は多くを書きすぎると焦点がぼけます。説得性を上げるために写真、表、グラフは不可欠です。必ず相手を目の前にして説明するだけでなく、資料だけが他の組織や会社を独り歩きすることの危険性も考えねばなりません。嘘は書いてはいけませんが強調するべきところはしっかり訴えないといけません。モノづくりで、初めての技術、形をクリエイトしていくプロジェクトで、上手な資料は成功の可否を握っています。上手に相手に伝える資料作成や説明の方法について教えます。
- 1.資料を作成しながら業務遂行プロセスを考える
- 2.効率の良い報告会の資料つくり
- 3.資料は読み手の気持ちを察してA4一枚を30分以内で造れ
- 4.PR説明は30分の詳細より、1分のコマーシャルで視覚に訴える
- 5.話のスジは1本に集約する
- 6.話したい実でなく、枝葉にかみつかれて右往左往
- 7.説明、報告の中でのデータ、グラフの使い方
1.資料を作成しながら業務遂行プロセスを考える
ものづくりに関わるスタッフ業務に携わるメンバーとしては、プロジェクトに対する企画、計画、作戦作りを行って現場の実製作部隊などに展開することで仕事がスタートします。また、予期せぬことや変化が常に発生しますのでその対応も作戦立てて展開が必要です。
ここではこの資料作りの作業について解説します。モノづくりで実際に手を動かして作業をしている現場の方々ら見ると、デスクに座って資料ばかり作っているスタッフは仕事をしていないようにも見えることでしょう。しかしものづくりを始める前の作戦とか段取りとか計画といったものをしっかり立てることが、そのプロジェクトで効率よく動いて失敗しないことにつながります。
資料を作成するのはただ整理してまとめているわけでは無く、資料を作成する過程でプロジェクトをうまく進めるプロセスや行動をガイドするのです。この資料を使うことで、このプロジェクトに関わる人、組織、お客様、上下の人へ10分で同じベクトルへ行動を仕向けていくことです。また作戦とか段取りがうまくいかなかった時のことや、NG時、追加の話などの業務遂行のリスクも作戦立てておきます。資料作成では小説ではない具体的な形を具現化するわけですから、文章だけではなく絵とか写真とかポンチ絵を入れて意志を上手く伝えてください。決してスローガンや、希望の文章を並べ立てるだけではでは駄目です。
2.効率の良い報告会の資料つくり
説明会をパワーポイントで説明することは多いと思います。何かについて筋道立てて説明するのは、パワーポイントを何枚も続けて説明します。でも、意外と枚数が多いほうが資料作りは簡単なものです。少ない資料で説明するほうが、意外と無駄を省いて洗練されまくった資料の方が、作成に時間がかかるものです。
1枚の資料に、点検の段階で、細部までああだこうだと議論して、修正ばかりすることを続けるとどうなるでしょうか。担当者は、昔の資料や他部署の資料をそのまま使用して説明するつもりでも、細部までつつかれるため、自分の説明できるようにすべて内容を自分が説明できるように作成しなおします。つまり、以前に存在する使える資料であるが、わざわざすべて手を入れ替えるのであります。 結果、少ない資料ではあるが、すごく工数のかかった資料になります。中身のデーターや結果は同じでも説明の都合でレイアウトから言葉、ストーリーが見直しの繰り返しになってしまいます。大事なプレゼンなら組織全体で取り組むことも大切かもしれませんが、はたして、本質的なもの造りや開発業務にかける工数はどこに行くのでしょうか。
3.資料は読み手の気持ちを察してA4一枚を30分以内で造れ
モノづくりのスタッフやエンジニアが作成する資料作成のプロセスを述べます。
- (1) 自分の勘と経験から原因、傾向、状況を見抜く。
- (2) 最も言いたいことを裏付けるデーターを考える。
- (3) データーを抽出、解析してグラフ化してみる。
- グラフを見て自分の考えを確信する。
- (4) 皆に伝えやすくするためにグラフやデーターを
- 工夫し、わかりやすくデザインを加えて資料化する。
- (5) 文字は少なく、目と言葉少ない説明で相手に
- グサッと訴える工夫を訓練する。
自分が言った得たいことや実施事項を伝えるための資料作成についてです。ぎっしり細かい説明を文字で並べ立てるより、一枚の絵とかグラフとか図面、写真を利用して自分たちの思いを皆に伝えるようにしてください。30分のながなが説明より、一枚の傾向を示したグラフの方が説得力があるものです。資料を読む人の気持ちを察して作成してください。そして、資料を作成するスピードが肝心です。パワーポイントならA4一枚を15~30分で造れることです。
4.PR説明は30分の詳細より、1分のコマーシャルで視覚に訴える
プレゼンは聞く人の心に、印象に残るように説明したいです。説明は、いかに短く、ポイントを伝えるか、また、その人の興味に関することから話を伝えることです。脇道から説明を入れると皆が退屈で集中力が途中でなくなります。自分が一生懸命やった業務報告ではありません。多くを語ると、話がぼやけて、PR点が見えなくなるものです。細かいことは端おる、大きくくくる、実は・・・の話は差し控えることです。多少ははったりぎみの説明も必要かもしれません。
話の筋を一本にして、皆の関心ごとを中心に説明のストーリーを構成してください。長い時間を30分長々説明するより、テレビのコマーシャルのように1分で短時間で話を伝えるイメージのほうが意外と良いです。多少ははったりぎみの説明も必要かもしれません。展示会の説明委員などは、むしろ内容を知らない業務職が、言われた通りを胸を張って言い切る姿のほうがわかりやすいケースもあります。実は技術担当者は、内容をよく知っているし、心配店が山のようにある中での説明ですから、言い切ることに自信がなく歯切れが悪いものです。
5.話のスジは1本に集約する
発表会やプレゼン、報告会でいろいろな方から質問攻め、意見攻めであたふたされた方は多いと思います。少し説明内容に注意し工夫したほうが良いかもしれません。プレゼンでインパクトを与えるには、やっていること複数項目を並び立てて、欲張って報告するより、1項目に無理やり話しのストーリーをつなぎとめて説明するほうが、聞く人には頭に入りやすいです。聞く人は、他の人達からもたくさんのテーマを順番に聞いてきて回ってきているので、すでに集中力は切れています。しかも、どこも「やった、やった」の頑張った話ばかりで印象が薄いものばかりです。
低コスト、品質向上、作業性、シンプルスリム化といろいろ並び立てても印象は意外と薄いものです。○○の技術をこのように、着眼して、開発に成功したからこの姿になる。一本道の話の内容で進むようにまとめきることが大切です。意外と技術を専門職としているエンジニア担当者は、実は・・・・ と思うところが多くて、いろいろ話始めると話が発散してしまったり、条件ばかり注釈を述べて逃げ道を作ったり、勇気がなくて歯切れが悪い回答を繰り返して、後に印象ものこらないことが多いので注意してください。
6.話したい実でなく、枝葉にかみつかれて右往左往
大きな組織のモノつくりのスタッフや技術者の報告会でよくある場面を紹介します。いろいろな部署の方や経験者が多く参加します。 しかし、各部署やいろいろな人物が発言が多くなってきて面倒な事態が発生します。話の本質を筋道立てて説明して結論までもっていこうと説明担当者が汗をかきながら説明しています。しかし聞いている方々から話の本質とは離れるところに質問や意見をぶつけてくることがあります。とかくトップはせっかちな人が多く、途中で別の自分の思いをぶつけてきます。説明者は、それを今質問するのか?と面喰います。仕方ないから話の途中で質問の回答の脇道に入ります。するとまたそこについて質問や意見という繰り返しです。話の順番やストーリーがグダグダになり、結論までたどり着けないことも多いです。説明員が自分が報告したい本題、相談したい内容に話を持っていくのに製作した資料も無駄になって、途中で他の部分に議論が殺到し思いもよらない突込みにたじたじです。担当者は次回は完璧に説明したいため、補足資料の山になってきます。中間管理職もビビッて資料の山を要求し完璧主義、完全武装になります。これを「資料が資料を呼ぶ」と言います。
7.説明、報告の中でのデータ、グラフの使い方
説明会や報告会の中資料の中でデータとかグラフを使って説明するポイントは多いと思います。ただそのグラフとかをいきなり一生懸命作っていくのも効率が悪いものです。
資料を作成するときは、第1に言いたいことを直感でストーリーを造ります。第2に、それに合うデータを探します。同時にどんな表やグラフがわかりやすいか検討します。データをただまとめるのでなく、話に合うグラフを書くわけです。つまり、嘘をつくのでなく、強調するべきデータのみをわかりやすく前面に出てくるようなグラフにします。言いたいことを説明できるグラフ形式を探します。第3に、一つのチャンピオンデータを事例や代表例として、最前面に出して説明するわけです。多少、はったり気味多内容になることもありますが印象派強いです。
また相反することかもしれませんが、同時に作成する資料は、その資料がコピーされて、部署間、人の手を渉って行った時のことを考えておいてください。自分が直接説明する時は、資料の背景とか、裏にかくれているデーターをコメント、条件、特殊なケースとして補足しながら説明します。しかし、聞いた方々が資料だけ手にして自分の組織や、自分の上司に伝言するときのこと考えておいてください。伝言ゲームの様に、資料だけがコピーして一人走り始めると、資料内容のみが決定事項と理解されてしまいます。各組織で都合の良いデーターの身が協調されてしまいます。コスト、日程については特に要注意です。「○○○の条件で、このデーターです」としっかり補足説明を資料の中に入れておいて、逃げ道を用意しておくことを忘れないようにしてください。