
作戦、段取り、根回し
会議、資料、管理、育成

プロジェクトリーダー
はつらいよ
モノづくりにおいては、レールを引く人とレールを走る人がいます。レールを引く人は、いわゆるスタッフと呼ばれ、 何もないところから、自分で立案し、計画を立て、組織や人を動かし、軌道を造っていきます。レールを走る人は、ルーチン業務的な人達で、効率良くスピード感をもって、正確に走る人達です。 技能系の人であったり、設計職種でも補助作業に従事する人達であります。この業務としてはルールやマニュアルを充実して、管理していくことで、どんどんスパイラルアップしていきます。スタッフ系の人は、多くの知識を勉強するだけではなく、業務遂行や作戦立てにおけるマネジメントの感覚を体験によって培っていきます。この部分についてのノウハウはビジネス本やネットにいろいろ載っていたり、自社内の勉強会、講座もあるでしょう。しかし、なかなか具体的な進め方も迷うし、1人のスタッフが成長していくには時間を要すものです。
例えば、若いうちはプレーヤーとして活躍してきた人物が、いつかプレイングマネージャーや管理職的に業務を推進する立場になっていくと思います。 多くの部下とか後輩もできてきました。 さあここで一体どんな風に部下とか後輩を引っ張っていけばいいのでしょうか。ここではスタッフ系のモノづくりリーダー的な立場の方に、実例から色々な切り口で説明します。 機械の企画・開発・設計といった作戦をどう考えるのか、リーダーが取るべき行動や作戦はどうするのか説明させていただきます。
モノづくりのリーダーは、プロジェクトを任されるときにはプロジェクトリーダーと呼ばれてとても大きな動きが要求されます。リーダーになるときの心構え、交渉説得すべき組織や上司や部下への対応、組織の構え方、部下の育成、言い訳やお断りの方法、ダメなリーダーの反面教師の事例などについて解説します。

- 1.リーダーは修羅場の数
- 2.総論賛成、各論反対
- 3.チャレンジか、自組織軸足の守りの世界か
- 4.腕組み部隊
- 5.外に向いてた目が社内に向けられる
- 6.壁を造って下から見上げるか、上から全体を見下ろすか
- 7.生産機械のクリエイトと導入をめぐる各組織の人たち
- 8.人材育成の三つのベクトル
- 9.職場で最悪は、能力もやる気もない人でしょうか?
- 10.「PM理論」でリーダーシップを観察
- 11.プロジェクトは優秀な人の集団ではうまく行かない
- 12.手を汚すことの大切さを認識
- 13.地味な業務に日ごろから長は日を当ててやる
- 14.なぜ人はシェアしたり つぶやく たくなるのか
- 15.多数の小事に負け、1つの大事に勝
- 16.根回しには順番がある
- 17.全てが大失敗した0点も、悪者強調して50点ゲット
- 18.できないことのほうが、説明に苦慮する
- 19.出来ないときの一つの断り方
- 20.都合の悪い物件は資料に載せない
- 21.溺れる者に石持たす
- 22.じゃんけんの後出し軍団
- 23.批判はするが、どうするかの具体策が出てこない人
- 24.抽象的サミット人間
- 25.トップ、部長達が本当にしかるべき人物は後ろで隠れている

1.リーダーは修羅場の数

モノづくりにおいて、立派なリーダーは修羅場の数で決まるかもしれません。リーダーとして成長するには、逃げずにリスクを自ら突破する経験を数多く積むことです。
リーダーは、一人でプレイヤーとして実施していた時代とは違って、チーム全体としての技術的な課題に挑戦しないといけないです。また技術以外にも作戦や交渉、人間的な渉外対応もします。上司、部下、他部署とかお客様、仕入先様への交渉、 組織や会社のトップに対しての報告があります。
リーダーになったら技術的な問題以外に色々対応が出てきます。 業務遂行上の作戦や交渉、渉外対応、日程管理、投資、工数の管理、 負荷の調整、マンパワー、人材の計画といったものが挙げられます。 リーダーは若いうちから上の方を見習って、人間学、スピード感、視野の広さ、言い訳方法、複数業務の同時作業などを磨くことです。
2. 総論賛成、各論反対
企業全体の組織同士の話です。 全体会議で未来に向かってチャレンジすることが必要だということに皆賛成してくれます。しかし、実際は総論賛成各論反対のケースが多いです。会社としては賛成であるが、それをいざ自分の部署が行うとなれば、言い訳をして拒否するケースが多いです。上の立場の人だけが集まった会議でよくあるケースです。かっこいい正論であるような抽象的な話し方だけで、どんどんキャッチボールが進みます。そして、全体の話としては賛成ということにはなります。つまり総論は賛成ということになるわけです。しかし、実際に自分の部署に話が降りてきた時に、この話は君がやるんだよということになると反対に回ることがあります。良い話には、皆の前では同意してカッコつけるが、いざ自分が担当となると色々逃げ口上を連発するケースです。会議体の中ではあなたは同意しているようですが、それはあなたの実施担当なのは理解していますか?

会議体では「集団思考」が働き、集団になると非合理的な判断をしてしまうこともあります。そして、集団で業務を進めるにあたり、「人数が増えるほど1人あたりのパフォーマンスが落ちてしまう」といった「リンゲルマン効果」と呼ばれている現象もあります。つまり、自分ではない皆が実施する、または他の部署が実施すると考えてしまいます。会議に参加したが人数も多いため当事者意識も少なくなって、まさか自部署に指名がくるとは考えてなかったため、各論反対となってしまいます。 (心理学 立正大学 斎藤勇著より参考 西東社)

会社全体で未来に向かってチャレンジすることが必要だということに皆賛成します。そしてある部署が会社の命題を受けて急遽大プロジェクトを担当することになりました。その部署の組織長は自分に自信がありません。自分からスタートしたくない。誰かやってくれないか。今の自分たちの平和な仕事をのんびりとすごしたいといったのが品根かもしれません。なぜ自分の部署なのだろうか? 他の組織は大切なプロジェクトとして全員賛成しているので、人を出してもらおうと考えて、他の部署に優秀な人材を選出してくれとお願いに上がるとどこの組織も途端に防衛に走ります。総論の合意は取れても、実務部隊の話になると人材が余っていないから無理と拒絶してきます。
心理学的な考察すると、個人の利益と社会との対立です。社会において、個人にとって合理的な選択をすると、社会にとって非合理な結果となってしまう状況です。こうした「社会的ジレンマ」は会社や組織では総論賛成各論反対と言ったように、全体への思いと自分の判断は違います。 (心理学 立正大学 斎藤勇著 西東社)
3.チャレンジか、自組織軸足の守りの世界か
景気が良い年が続く時こそ次に向かってチャレンジが必要です。景気が良いことに油断していると仕事が無くなってきます。トップからは業務改革の指示があるが簡単ではありません。自分たちの井戸の中で運動会を続けることで、自組織の存続で忙しくしています。気が付かないうちに、いい仕事がどんどん手からこぼれてしまっています。仕事が減ってきて慌てる頃は手遅れになっているかもしれません。
会社の立場とか市場を見てチャレンジする行動をおこなうか、自分の組織中心で行動するかで、大きな違いがあります。「敵に負けても味方に勝つ」とは、会社にとってはマイナスであるが、自部署や自分にとっては優遇され、評価が高くなることであります。一組織は評価が上がりますが、全体の効率が落ちたり、無駄な動きをしていることが多く、会社全体にとってはマイナスになっているこも多いです。気が付きにくい点もありますが、自分が泥をかぶって会社が栄えるか、他部署に泥をなすり付けて生き残るか、考えるところです。

4.腕組み部隊

大きな組織体制の中で出てくる現象の一つです。スタッフメンバーが皆直接手を汚さなくなり、実行でなくマネジメントに走りすぎてしまうケースがあります。直接作業は一部のスタッフや技能系の人材が担って、管理する側が増えてしまう現象です。少しの実際の業務に対して、実施者が2~3名で担当して作業している中で、いろいろな組織、役割、立場の人がたかって来て、作業を担当する人たちに指示を出します。作業者は多くの人たちからの指示や質問、報告に混乱します。こういったなまじ責任があるために参画だけする周りの人たちを「腕組部隊」といいます。
モノづくり現場においては不具合とかトラブルが当然起きます。その時にすぐにトラブったところに多くの人物が集まって議論している姿を見かけます。 多くの関係部署はトラブルに対して把握しておかなければ各組織の上司から各担当者が怒られることになるため、状況を把握して報告できるように近寄って状況を聞きに行きます。機械を修理しようと頑張っている人は二人か三人で、その周りに多くの関係部署が腕を組んで取り囲みます。これを「腕組み部隊」といいます。
5.外に向いてた目が社内に向けられる
小さな組織ではなかよくベクトルが合っていても、組織が大きくなってくると組織間に壁ができてくるものです。組織が小さい時は一致団結して会社の外に向いていた目が、組織が大きく安定している場合は組織の皆の目は内に向いてくるものです。つまり自分達に軸足が立って、自部署の手がら、名誉、昇格などの目的のために同じ企業内でも各組織間に壁を造っていく傾向もあります。努力を向ける方向も、社外に向けてより社内に向いてしまい、お互い社内向に自部署の存在意義を高めるためのPR合戦をくり返し工数をかけていくことも多いです。
そして大きな組織では自部署の工数に余裕を持たせ始める傾向も出てきます。大きな企業ではどこの部署も忙しいでしょう。そして自らのマンパワーを守るために、提案して仕事の負荷を100%うめこむより、常に80%で余裕を持ち続けていて、突発に備える癖が育ってきます。自分の仕事をコツコツやっていてもトップの突発業務を優先する方が評価は高いです。上のニーズにタイムリーに反応するために、常に余力をあけて備えている風土になってしまいます。こうして社内全体が組織全体がだんだんジリ貧になっていくのです。

6.壁を造って下から見上げるか、上から全体を見下ろすか

仕事をする人は壁を造ってその中から上を見上げているケースが多いです。組織の長は上から組織をみおろして判断、決断しています。組織長が間違えるのは、みなが自分の価値感を同じく全体を考えているはずと思い込むことであります。下の一担当者は組織長に対しては前向きに発言をします。しかし、心は『総論賛成、極論反対』であることもあります。このケースは仕事が順調に流れて行く時は皆ニコニコと前向き発言になってきますけど、うまくいかない時とか問題起こった時は、組織全体がパニックになったり、大きな責めが降りかかってきます。各担当者は言葉では大変だと言うけど、心の中ではこれは俺の責任ではないという気持ちが結構あるものです。組織長はこういった状況まで含めて責任を負ったりマネジメントをしてください。
7.生産機械のクリエイトと導入をめぐる各組織の人たち
機械のモノづくりにおいて、四つの立場についての違いを説明します。その機械を使って生産する組織におけるトップの人と実担当者の人。そしてその機械を開発してクリエイトしていく組織とか会社のトップとその機械を開発している実担当者の人。 以上の四つの人の立場とか思いといったものは、 総論は同じとしても各論はそれぞれ微妙に違うところがあります。 四つの思いは、 総論は同じでも各論は違います。

機械のモノづくりにおいて、四つの立場についての違いを説明します。その機械を使って生産する組織におけるトップの人と実担当者の人。そしてその機械を開発してクリエイトしていく組織とか会社のトップとその機械を開発している実担当者の人。 以上の四つの人の立場とか思いといったものは、 総論は同じとしても各論はそれぞれ微妙に違うところがあります。
生産ラインで製品を量産している 組織長の思いは、現状を変えて効率を大きく上げたい、成果を出したい、 という将来に向かっての大きな願いというのがあります。しかも自分がこの組織長である間に成果を確実に上げていきたいという思いも強いです。 生産ラインで部品を量産している担当者の方の思いというのは、日々の生産に責任を持って取り組んでいるために、あまりチャレンジャーブルなことはしたくないという思いで、大きなリスクとかは避けて怪しい技術を導入するのは波風を立てないでほしいという思いが強いです。
それではその機械をクリエイトして生産ラインへ導入する側の組織とか会社の思いについて説明します。機械メーカーの経営陣とかトップの方は、まず売上をアップして利益を出すことが第一優先に考えられると思います。そのため技術的な完成度とか評価と言ったことは頭では分かっているが、意外と腹に落ちていないために、機械の姿は見えてきたらすぐに市場に投入して打っていきたいという気持ちが強いです。機械メーカーの実担当者の思いとしては、自分たちが生み出した機械が正常に流れて行く自信をしっかり確認して導入したいというところでしょう。中途半端では納入先に張り付き状態になってしまって大変な苦労が待ち受けているために、 まだ評価するところがあるということで導入はいまいち積極的ではない考えがあります。
8.人材育成の三つのベクトル

ものづくり人材を見極めて育成をするのに一つの見方として紹介します。メンバーを観察するときに三つのベクトルで判断してみるのもいいと思います。一つは能力、一つは行動意識、一つは資質で見てみるとわかりやすいかもしれません。

能力というのはものづくりをしていく上で必要な知識とか経験、技術力とか図面をよく知っていると言うことです。この項目はいろんなものづくりを勉強して座学とかマニュアルとかネットで技術を勉強することで伸びていく項目です。
行動意識というのは、その人物が前向きに積極的に行動していく、 自ら活動していくといった、いわゆる元気な人といったところにあたります。この部分は若いうちから小さな成功体験をたくさん積み上げて、 自分が考えたことはうまく行ったり成功したりするような体験を積み重ねていって、 自信を持たせて元気付けるところに着けると思います。
資質というのは生まれながらに持っている才能とかセンスに当たると思います。芸術家とかスポーツ選手だと才能という言葉が簡単に使われていますが、 ものづくりのエンジニアとか設計者なんかにもこのセンスはついて回ります。例えば色々な設計者にとってもこの人は非常に正確な図面を書くとか、 白紙の状態からすぐに手を置かして仕事を始めることができるとか、逆にこの人の書いた図面はいつも設計変更が数研後追いで出されてくる品質の悪いものである。こういったことがよく経験されていると思います。いわゆる設計者に向いているとか、開発者に向いているとか、営業の方ができるのではないのかといったところに結びつくかもしれません。
9.職場で最悪は、能力もやる気もない人でしょうか?
モノづくりをしている組織にとって最も役に立つのはどんな人でしょうか。能力もあって行動意識も高い人は戦力になるのはもちろんです。では組織にとって最も重要でない人物は、と問われると、能力がなくて、行動意識も低い人ということになりますが、果たしてそうでしょうか。その人は逆に言われたことはコツコツやる業務推進に役立てることができる人も多いと思います。
組織にとって扱いにくいのは、能力がないわりに、やったら行動意識だけ強い人かもしれません。能力とはバランス感覚を伴ってうまく武器にできるもので、能力が少ない割に行動意識が高い人物は、得てして自分で判断して自分で行動し暴走し始めてしまうケースが多いです。
バランスのずれた上位の管理職だと最悪です。こういった人物が管理職でチームを持ったとするととんでもない方向に暴走し始める可能性もありますので、 組織より個人プレーの職に軸足を持つことの方が無難かもしれません。

10.「PM理論」でリーダーシップを観察
心理学ではリーダーシップを発揮する人たちを分類するために、「PM理論」というのがあります。P機能は目標達成のために部下にはたらきかけることで、M機能は集団存続のために部下に配慮することです。このバランスにより、リーダーシップが成り立っているという理論があります。 P機能が高い人は結果を出すために積極的に行動して部下を叱咤激励してチームを引っ張ります。 M機能の高い上司は部下のストレスを和らげしてチームワークを重視し仕事を進めます。
心理学専門書に「ダニングクルーガー効果」というものがあります。一般的に、はじめは 自分を他人より優れていると錯覚しますが、経験を積んでいくと自分の能力を客観視できるようになって自信を失います。その後本物の実力を身につけることで本物の自信がつきます。これに陥っていると、最初は能力以上に自分を過大評価し、自己評価では「できる」と判断しても、納期に間に合わない、質が悪いなど、業務を処理しきれずに何らかの問題を起こしてしまいます。 (心理学 ダニングクルーガー効果)
11.プロジェクトは優秀な人の集団ではうまく行かない

大きなプロジェクトが始まった時に、やたら優秀な人材を固めるのはあまりよくありません。優秀な人を複数人、一つのプロジェクトにつけると、お互いに意見がぶつかりかえってうまく行かないことがあります。優秀なリーダ一人に、後は言うことを素直に聞く、文句を言う前に手が動くような人材をそろえた方が意外とうまくいきます。
一つの事例を紹介します。ある海外プロジェクトで十数名のチームを海外に半年出張してラインを立ち上げることになりました。組織から優秀なメンバーが選抜されていきました。しかし、リーダー格の人材の間で、意見や優先度でもめることが多くなって、他部署や業者にも迷惑をかけるような状況になってしまい、行動も二つに分かれてしまう状況も発生してしまいました。業務遂行には答えとか、優先度の正解は無いケースもよくあります。リーダーがしっかり決断して皆を引っ張る行動のチーム編成に努めてください。
12.手を汚すことの大切さを認識
大手の企業では実際にモノを作っていく部署とは別に、全体を管理する部署とか、プロジェクトを企画する部署とか、組織間を調整する部署など色々な機能を持った組織体があると思います。具体的に物理的に形を作っていく実際の設計とか作業をしている人材は世界共通の技能を有しているとも考えられます。計画とか企画、プロジェクト全体を取り仕切っているような人たちもあります。

しかし、実際に環境が変わると、別の会社とか別の海外の組織に出向いていくと意外と自分自身にびっくりすることもあります。数字とかグラフの仕事は確かに慣れているけど実際に物を作っている現場に足を運んで行った時に、さて自分は何ができるのだろうと考えると意外と今まで何も具体的な技を使っていなかったことに気づくかもしれません。特に海外に行ったりした時は、具体的に物を形を作っていくプロセスを把握している人にはたくさんの現地の外国の方が集まって指示とか教えを伺ってきますが、何も持っていないと意外と現場で立ち尽くしていることもあります。上流にいる方も現場を普段からよく観察しておいてください。
13.地味な業務に日ごろから長は日を当ててやる

組織長は、ルーチン業務や細かい補助業務といった地味な業務に日ごろから日を当ててやることが大切です。
開発とか、○○テーマとか、組織として脚光をあびる業務を行うためには、土台のルーチン業務を通常通りコツコツ行う、量をかせぐ仕事が動いている上ではじめて成り立つことがあります。中小企業の場合、会社を維持する上で日々を稼いでくれる業務で、量をこなす地味な仕事に日ごろから気にかけてる発言をすることです。こういった仕事に興味を示さない態度をトップがとっていると、部下は皆が目立つ仕事、脚光をあびる仕事のみに走り、ルーチン業務は認めるがいざ自分が行うとなると、うまくことわり皆逃げてしまう状況になってしまいます。
14.なぜ人はシェアしたり つぶやく たくなるのか
心理的な考察を見てみます。人がSNSに投稿したり、つぶやいたり、シェアしたりするのはなぜでしよう。 おも人に話したり情報を行ったりするのは、主な要因としては「他人から認められたい」という「承認欲求」が考えられます。職場は皆全員承認欲求が存在しています。 そして、「自己中心性 バイアス」とは、貢献度は他人より自分の方が上と評価しがちなことです。自分の目線でしか物事を考えられないという状況です。事例では、自分の価値観を押し付ける。自分にしかわからない専門用語を使う。自分の行動が他人に与える影響を考えない。自分だけがみている情報で判断してしまう。といったことがあります。 (心理学用語 自己中心性バイアス より)(心理学 立正大学 斎藤勇著 西東社)
ルーチン業務を行っている人から見ると、自分たちは目立たずに毎日コツコツ地味な仕事をしていて、上の人はチャレンジャブルなプロジェクトを実施しているスタッフばかり声をかけています。でも会社で儲けているのは自分たちという意識はあります。人は無意識のうちに自分の行動を評価し、相手の仕事を少なく見積もってしまう傾向があり、こういう「自己中心性バイアス」に注意することが必要です。 日々を稼いでくれる業務で量をこなす地味な仕事にも日ごろから気にかけてる発言をすることです。そして仕事の成果とか評価の基準を明確にして、成果を記録・数値化して見える化を徹底することが有効かもしれません。
15.多数の小事に負け、1つの大事に勝つ
交渉事でその時は勝っても長い目で見るとデメリットが大きいこともよくあります。その時は負けて、後で大きなメリットをつかみとることをよく考えましょう。議論に勝って気持ちよく損をする?それとも、議論に負けて得をしますか、さあどっちでしょうか。相手との交渉の時、全てを欲張り重要物件を落とすより、致命的重要項目を勝ち得ることが大切です。細かい項目は あえてを勝ち取ることはせずに、 重要な物件とか致命的なとこと言ったところだけをなんとか勝つようにしたほうがいいです。議論の最初から最後まで全てのリストの項目を勝ち取ろうと焦った挙句、重要なところを相手の感情を害して負けてしまってはあまり意味が無いと思います。

16.根回しには順番がある

根回しの順番を間違えるとへそを曲げて上手くいかないケースも出てきます。キーマンへの相談、意向を飛ばして、やりやすい人から根回しをして行くと、都合の悪い人がキーマに話を進める前に話を潰しかねないこともあります。
またプライドのある人は、後回しにして話を最後に持っていくと、事前に他から情報を聞き、ヘソが曲がっている状態で却下を食らうこともあります。そして根回しの順番として相手の部署の上司を立てておくことです。相手部署の実力者の上司への一言が大切です。つまり、相手上司を立ててやることであ ります。
また根回しの交渉時にトップや重要人物の名前を挙げて話す人をよく見かけます。交渉上の会社のトップを知っているとか、重要な人と知り合いだとかいう話をするのも自分の力を保持する「栄光浴」かもしれません。「栄光浴」というのは、高い評価を得ている「すごい人」と自分とを関連づけたくなることを心理学で掲載されてます。「すごい人と関係のある自分もすごい」と周囲にアピールして、自己評価を上げ、自分の意見を通したい心理作用です。しかし、すごい人を知っている交渉相手に異常におじけずいて話をする必要はないかもしれませんよ。「栄光浴」に惑わされないようにしましょう。
17.全てが大失敗した0点も、悪者強調して50点ゲット
うまくいかなかったプロジェクトを言い訳したり説明するときは、「悪者を1つ造り強調する方法」があります。
ただ漠然とうまくいかなかった点を説明すると、全て失敗で0点です。自分の業務の中でもうまくいっている点はあります。うまくいかない原因を1つ悪者を強調して、後は計画通りうまくいったと説明することです。するとこの失敗物件が壁で、全体が完成していないと説明し、現在フォロー中と持っていくのです。 理解はされると思います。

18.できないことのほうが、説明に苦慮する

わからないを連発して認めようとせずにわが身を守る上の上司もいます。『報告内容が見えない、わからない』をわめくものは、実は『見ようとしていない』人かもしれないです。立場に責任のある人は報告を聞く時に、本当にわからないのか、またはわかっているが認めたくないのかです。了解した、理解したで報告を聞く場が終了すると、聞いた自分に責任が転換されるようなものです。いやな話は聞きたくないのか。 Bat News Farstは本当なのか、組織のリーダーはたいへんです。
トップの指示、意向に対して、『はい、できます。』というのは簡単であります。 しかし、直感的に、これはできないと考えて、できないことを口頭で説明しても相手からは、後ろ向き、積極的でない、となり『できない理由は山ほど挙げる。』といわれるだけです。結局、実施、トライしてみた挙句、目の前で、失敗してみせると、ようやく納得されるわけです。 こういったことが多く行われ、山のような工数が無駄になることが多いものもあります。また、中にはまれにやってみたら成功するケースもあるが、割合はかなり少ないものかもしれません。
19.出来ないときの一つの断り方
ものづくりにおいてできないことを断る方が難しいことがあります。できない時こそ誠意をもって断り方を考えることが大切です。
一つ目の方法が全てできませんという一言でなく、ここまではできるけどこれができませんという六十点の説明にするという方法です。例えばある開発的な機械を作って量産ラインにすぐ入れてくださいという話に対しての事例です。直感的にもうできないということで「できません」という話だけすると非常に誠意が感じられません。たとえ自分の組織とか会社からできないと言ってもお客様が他に依頼するときの手助けになるかもしれない内容とかも付け加えてお断りすると親切です。例えばほとんどの機械構成は成立したりできそうですが、ここの部分だけはこの1台の機械でこれだけのことをやり切るのは難しい、技術的にもこの加工点だけはできないですというようなメリハリつけた説明をしたほうがいいです。
二つ目の方法はいきなりできないと断るのではなく、一歩下がって二日後にできないと回答するという行動です。その場でいきなりできないと言い切ると誠意が感じられなくて悪い印象だけが一人走りする 。イエスとは言わずに持ち帰らせてくださいということで、二日後に組織全体で議論したけどこれは無理ですという断り方をするわけです。二日後のまをあけることでお客様はこの人たちは一応検討してくれたという誠意を感じるということです。

20.都合の悪い物件は資料に載せない

会議体や報告会に対して事前に資料を書くことはたくさんあります。この時に注意することがあります。多少姑息ではあるとは思いますけど、自分に鉾先が向いてくる様な内容をあらかじめ資料・データに載させないことです。実力者はこれが実にうまく、自分の防衛がしっかりしているものであります。例えば、資料を作成する時にグループ長から、このような言い回しを聞かれたことはないでしょうか。「Aの○○が原因であり、(自分の)○○は本質の問題ではないため、焦点がボケてしまうため、これは消しておけ。」「○○部の物件も大きな原因になっているため、そこも記載しておくべきだ。」「悪いことばかりでなく、うまくいったことも沢山ある。その部分も一緒に平気しておけ。」
また、資料には数字が独り歩きする危険も考慮しておいてください。今作成している資料は、その資料が部署間、人の手を独り歩きしていくことを注意してください。自分が直接説明する相手は、背景、裏にかくれている条件を補足しながら説明しますが、その後伝言ゲームの様に資料だけが走り始めると、資料の都合に良い内容、数字のみが決定事項と理解されてしまう危険性を含んでいます。 コスト、日程は要注意です。 ○○○の条件で、このデーターですと補足説明を入れておいて、逃げ道を用意しておくことです。
関係者に情報をスムーズに流すため、資料やメールで簡単に送るケースがあるが、中には文章にしない方がいいことがあります。マズイ内容の資料だけが一人歩きして、背景を詳しく知らない人に、表面的なマズさだけが広まっていくことがあります。資料を作るときは説明する直接の相手の人だけに納得するところで終わると考えないようにしてください。その資料を使って相手の人がそこの部署の上司とか組織長とかトップへ話を上げていくときは、詳しい背景はなくてその資料だけが移動していきます。微妙なニュアンスの口頭説明を付け加えて治療を説明した自分でしたが、その資料だけを見た別の関係組織はとんでもない判断をしてしまうケースもありますので注意してください。
反面教師の事例
21.溺れる者に石持たす 不具合の発生時の報告の山は、解決を遅らせる理由の一つ

モノづくり業務でピンチでパニックになっている状況の人に対しての話です。事件が起こると各関係組織は自分事ではないにしろ、状況を各組織の上に報告する必要があります。そのためパニック状態の当事者に対して詳細報告、説明の山となってきて、余計に当事者がおぼれてしまう状況です。
「溺れる者に石を持たす」 とは、橋の上から溺れる人に対して、原因追究して資料をまとめて皆がわかりやすく納得できる対策を考えて早く報告せよという宿題を次々浴びせることです。 一刻も早く対策しなければならない担当者は、むしろプレッシャーに感じます。橋の上ではなく同じ目線に降りて、担当者の邪魔をせずに対策に集中させることです。
22.じゃんけんの後出し軍団

モノづくりはトラブルの連続です。問題が起きた後、そもそも論の話で、なぜこれを確認しておかなかったのか、なぜこの段取りを入れておかなかったのか、なぜ作った設備メーカーがここに立っていないのか、といったようなことが話題になります。これから先の解決する話より、 何が悪かったか、誰が悪かったかの話が多いです。「後出しじゃんけん」のように何でも言えます。やることが多すぎてとても回らなかったという言い訳しか担当者からは出ないと思います。議論をするなら何でやっていなかったのかということより、 なぜそのステップを行うことができなかったのかの業務フローや計画を議論にしてほしいものです。
23.批判はするが、どうするかの具体策が出てこない人

批判しているが、ではどうするかの具体的な話がないのはいかがなものでしょう。抽象的な希望的な方向性だけ話して、意見した気になっている上位の方は多いと思います。自分で決断や意見がないために、指摘だけ繰り返している人。 具体案でなく、感想ばかり長々説明する人がいます。やはりリーダーの方にとって必要なのは、自分で手を汚したり、自分でお客様と交渉したり、自分で資料をまとめて部下、上司を説得する行動が欲しいです。
「この人がいなくなっても会社は困らない」 と思われたらおしまいですよ。
24.抽象的サミット人間

モノづくりにおいては、具体的に技術、図面、データーが重要です。具体的な指示ができずに、抽象表現でごまかす人。資料を作らせば、やたらスローガンや、希望ばかりかっこいい表現のわりに、業務遂行につながる具体的行動が無い人がいます。具体的に業務を遂行する方策を細かく話すようなことをしないのはなぜでしょうか。それは、仕事を回すのを十分に把握してない人、自分がそのことに触れてしまうと指示となって下に伝わることを恐れて、わざと抽象的にかっこいい言葉だけで済ますためといったこともあります。こういった人たちが集まって会議を実施しますが、こういった会議の場は「サミットの会議を行っているだけ」で、全然具体的実行に欠けると表現します。ものづくりの組織、会社であるから、具体的な業務遂行の話まで一気におろしていくべきです。経営者、役員、部長の立場の人は意外とそういったところが苦手でかっこいい話だけをアピールしている場合が多いのです。気を付けましょう。
25.トップ、部長達が本当にしかるべき人物は後ろで隠れている

勇気を出して自ら 「渦中の栗を拾おうとチャレンジする人」がうまくいかない時に、上位の人はあまり怒ってはいけません。
まずリスクを承知で手をあげた気持ちを評価してあげてご苦労様を言ってあげるべきです。本当に怒るべき人物は、そもそもそれを自分の仕事としてやらなくてはならない立場の部署の人とか、 自分の上司に対してかもしれません。
勇気を出して実施した本人に向かってあまり怒り過ぎると、もう二度と手を上げてチャレンジする事はしなくなるでしょう。まず褒めた上でここは良かったけど、もう少しこうすればよかったねとか言葉が必要でしょう。