大量に製品生産をしている大企業と

生産する機械を提供している中小企業

 機械づくりで、生産機械や技術開発を依頼する側と、それを受けて行動する側があります。市場に向けて大量生産をしている大企業とその中で生産する機械を提供している中小企業であります。 また、大企業の内部ではライン運営して生産する工場側と、生産ラインを考える生産準備部隊があります。例えば機械を依頼されて開発構想に着手することになりました。依頼者のお客様や後工程の意見は最優先と頭ではわかっていますが、なかなか思う通りには行かないものです。依頼される方はいろいろな無理な要望や日程を要求し、その割に投資はもちろん抑えたい希望です。機械のクリエーター組織の最前線で戦うプロジェクトリーダーたるもの、責任重大です。さあ、どうしましょう。

 依頼側と作り手側も相手のことはよくわかっていると言っていても、やはり、両方の組織に実際に立ってみなければ、見えないことは多いです。 私もモノづくりはプロでいたつもりでしたが、大手企業の依頼側と中小企業の依頼される側の両方に実際に立ってみて、はじめて両方がつながって、理解することも多かったです。単に仕事の流れや、お金と物の流れだけでなく、モノづくりの心と気持ちの流れを知るために、両方の立場より、モノづくり行動の心がけや考え方を説明します。

  • 大企業の中で萎縮してチャレンジレスになってませんか
  • 1.バッターボックスに立たない風土 
  • 2.チャレンジか、自組織軸足で守りの世界か
  • 大企業の中の組織のしがらみ
  • 3.開発と量産化にはもう一つの大きな壁
  • 4.開発は技術だけでなく、組織のしがらみが混じってくる
  • 5.開発物件の量産化導入に対する現場からの敬遠感覚
  • 6.開発の歴史は繰り返していませんか
  • 7.「サンクコスト効果」に惑わされずに止める勇気
  • 8.現上司の追い風も、上が変わると悪者
  • 9.他部署から来た人がトップになると、方向が変わるかも
  • 10.船頭多くして船山に上る現象
  • 11.溺れる者に石持たす  
  • 12.長い歴史で仕事分担が固まってきた組織をかえるには一度解体、取り潰したほうが良い
  • 13.追い風ははったりからもらう
  • 14.仕事を膨らますより、守りに人を当てる。肝心の物つくり業務が無くなる
  • 中小と大企業の違い
  • 15.中小企業と大企業の心配事
  • 16.機械のクリエイトと導入をめぐる各組織の人たち
  • 17.中小企業の課長さんの悩み
  • 中小の注意事項
  • 18.仕事を受けれる条件かを見極める
  • 19.この依頼話は本命なのか?
  • 20.大手企業の客先トップの考えの影響力の大きさ
  • 21.中小企業の人材流出
  • 中小の生き残り
  • 22.大手製造業や商社からの機械開発製作依頼の罠
  • 23.メーカーとしての方法
  • 24.他のメーカーに商品をまねさせない方法
  • 25.仕事がGOしてから提出される見積書の罠
  • 26.中小企業がつぶれるのは、高負荷の後の低負荷。
  • 27.設備仕様は組織場細分化するほど高額
  • 28.メーカが設備立会いを受けるにあたっての本音
  • 仕組みと事務局のてんこ盛
  • 29.事務局が頑張りすぎると株の組織内にミニ事務局が発生
  • 30.不都合な報告は事務局は報告会のみセットして傍観者になる
  • 31.アンケートのマジック
  • 32.見える化でなく見せる化になっている
  • 33.ルールとしくみを撤廃する良い方法

大企業の中で萎縮してチャレンジレスになってませんか

1.バッターボックスに立たない風土 

 企業では、未来に向かってチャレンジすることが必要だということに皆賛成してくれます。しかし、実際は総論賛成各論反対のケースが多いです。会社としては賛成であるが、それをいざ自分の部署が行うとなれば、言い訳をして拒否するケースが多いです。例えばある部署が会社の命題を受けて急遽大プロジェクトを担当することになりました。その部署の組織長は自分に自信がありません。自分からスタートしたくない。誰かやってくれないか。今の自分たちの平和な仕事をのんびりとすごしたいといったのが品根かもしれません。なぜ自分の部署なのだろうか? 他の組織は大切なプロジェクトとして全員賛成しているので、人を出してもらおうと考えて、他の部署に優秀な人材を選出してくれとお願いに上がるとどこの組織も途端に防衛に走ります。総論の合意は取れても、実務部隊の話になると人材が余っていないから無理と拒絶してきます。

2.チャレンジか、自組織軸足で守りの世界か

企業はチャレンジが必要です。トップからは業務改革の指示があるが簡単ではありません。手を上げてチャレンジしないといけないという気持ちと、チャレンジして失敗した時は責められたり大変なことになるという気持ちがあるはずです。自分たちの井戸の中で運動会を続けることで、自組織の存続で忙しくしています。気が付かないうちに、いい仕事がどんどん手からこぼれてしまっています。仕事が減ってきて慌てる頃は手遅れになっているかもしれません。 会社の立場とか市場を見てチャレンジする行動をおこなうか、自分の組織中心で行動するかで、大きな違いがあります。自分が泥をかぶって会社が栄えるか、他部署に泥をなすり付けて生き残るか、考えるところです。

集団心理の一つで「傍観者効果」という言葉があります。周りに多くの人がいることによって率先して行動しなくなることをいいます。誰も「火中の栗を拾わない」のはなぜでしょう。

 理由は下記のようなことでしょう。

(1)自分以外の誰かが、どこかがやってくれると思うから。「自分がやらなくても誰かがやってくれるだろう」という心理が働きます。周りと同じ何もしないことは皆同じと責任が分散され、自分だけ非難されるリスクが低くなると考えます。

(2)恥をかきたくないから。自分が行動しても失敗したときのリスクを考えてしまうから、傍観者になってしまうことがあります。

(3)誰も行動していないので緊急性はないと思うから。周りが何も行動していないのなら緊急事態ではないだろうと自分で判断をしてしまうことが、傍観者効果につながることも。

大企業の中の組織のしがらみ

3.開発と量産化にはもう一つの大きな壁。開発バカにならないこと

 大企業でものづくりを行なっている組織の中では、量産担当や開発を積極的に実施する部署もあります。開発する人に注意することは「開発ばか」にならないということです。

  ここでいう 「開発ばかな人」 というのは、量産化とか実際に市場に多くの機械を出したことのない方が多く、面白そうな技術ばかりに夢中になって取り組みます。しかし、実際工場に入れた時の不安定な技術では、とても量産に耐えれないことも多いです。

開発技術だけの手段をめど付けすることが最終目標としていて活動している人は困りものです。技術開発の段階で95点が取れたと思っても量産ラインに実際導入するための最後の5点はとても壁が高いです。

4.開発は技術だけでなく、組織のしがらみが混じってくる

  モノづくりにおいて新しい開発技術を実際に工場に導入していくのは、技術開発的なこと以外にもなかなか難しいところがあります。3つの部署があると仮定します。技術を開発していく部署、 工場を計画してご予算を取って導入していく部署、実際の工場を運営して製品を量産していく部署の三つです。開発部署は量産の苦労は腹に落ちていません。技術開発に走って旗をあげて特許を取りながら進めます。計画部署は予算を取ってレイアウトを考えてますが、この技術は量産に耐えれるか心配ではあります。工場は日々の生産に追われているために、ちょっとでも ラインが停止する可能性を持った技術にはかなり反対する気持ちが強いです。

5.開発物件の量産化導入に対する現場からの敬遠感覚

開発を進めている部署と実際の 量産ラインを担当している組織と違う場合は多いと思います。開発物件を号口に導入する時、導入過程に対する手間と導入後のリスクを考えて、総論の開発するべき物件については賛成だが、極論である自分の担当の量産ラインの中に採用することに対しては反対となることがあります。こういったことを組織間辺りでスムーズに事が運ぶようにしようとする一つのやり方として、開発していた担当者をそのまま実際の量産ラインの担当の組織に職場へ移動していくやり方があります。

6.開発の歴史は繰り返していませんか

 人が考え付くことは所詮同じです。その時代の組織の長が成果を出そうと開発を指示して着手します。着眼は素晴らしいものですが必ず成功するということもなく、工場での実際の量産化まで至らないことが良くあります。

  しかし、振り返ってみると、実は十数年前に似たようなことを同じ組織や他の人が実施しようとしていたことが後でわかります。メンバーは皆入れ替わっていて、過去にやろうとしたが失敗したということは薄れてしまっていることがあります。多少は情報を知っていたとしても、今の技術や自組織の技術力、特に自分の力ならできるという過信もあったかもしれません。

7.「サンクコスト効果」に惑わされずに止める勇気

モノづくりにおいの開発技術についてです。2~3年程度お金を投資して要素技術開発を実施しているがなかなかうまくいかない場合です。ずっと携わってきた管理職や関係者はここまでやったのだから何とか成果をとしがみつきます。感情的になって信念か執念かわからなくなっているのかもしれません。例えば、新しく変わった上司が冷静にここで開発は中断しようという声がないとなかなか自らは断念しにくいでしょう。 「サンクコスト効果」とは、損失する可能性が高いとわかっていても、過去に投資したコストの価値を引きづってしまい、やめられないという心理傾向です。例えば、スマホゲームの課金は、「ここでやめられない」という心理を利用して、アイテムを購入させるわけです。(心理学  立正大学 斎藤勇 著)  

8.現上司の追い風も、上が変わると悪者

うまく運営を行っていても、トップや上司が変わったりすると後を引き継いだ組織の中では悪者になることもあります。トップがよく代わる組織では、前の人とリスクを分かち合っていても人が代わればボロクソの時があります。いろいろ出来上がったしがらみは、引き継いだ人から見ると状況が変わるとやっかいな問題を残して出ていったとなってしまうケースもあります。途中参加者は順調な時は一緒にニコニコで、成功体験や達成感に浸ってくれるが、失敗が続いたり、大きな壁が来たり、上との考えの変化に同意できないときなど、逃げる側に走ってしまいます。残ったメンバーは自分の城は自分で守ることです。途中参加者は『俺に責任を擦り付けるのか』の被害者意識と対岸の火事の意識が強くなりますので注意してください。

 

また、他部署から来た人がトップになるケースは、軸足が変わるケースもあります。一生懸命に進めていたもの件が、気が付いたら他部署はA案からすでにB案を進め始めていたという場合があります。常に自分の足元は確認しておくことです。逆にトップや上司が変わった時に解決する方も見えます。自分たちで開始した開発が頓挫してどうにも収集がつかなくて断念、中止しようとするケースです。変わる前のトップは自組織のテーマだから決して断念はしようと行動することは少ないかもしれません。そこで、新しい組織やトップ、上司の体制になって気持ちの入りきれないテーマを中断していく動きを行うのは一つの方法かもしれません。

9.他部署から来た人がトップになると、方向が変わるかも

大手の会社でも出世頭にある方は3年ぐらいで色々な部署を代わって行きます。秘密組織を変わっていくことで色々なことを経験するというのが目的です。しかしそれが部長レベルの方で、そこの組織の仕事内容にほとんど感知してないような状態から参画したとすると結構そこの組織の中には難しい面が出てきます。代わって来たトップの方が、得意分野の方に軸足を変更して他のテーマをたくさんあげてきて、組織の性格が変わってきた場合です。そこの組織の元々の本来の仕事の本質とは違うところに軸足が置かれると、今までの組織の性格がちょっと変わってくるかもしれません。また、変わってきたトップの方が、それまでやっていた何個かのテーマを不必要という判断で潰してしまうことです。この動きはうまくいったら本来の目的を達成することができるかもしれません。しかしそのテーマに関わって人たちにとっては大きなショックかもしれません。よく見極めて判断を下すべきだと思います。

10.船頭多くして船山に上る現象

小さな組織時代はなかよくベクトルが合っていても、組織が大きくなってくると組織間にカベができてくることがあります。組織が大きくなると会社の外に向いていた目が内に向いて来ます。どういうことかといえば、自分等の利益(手がら、名誉、問題発生時の責任部署、昇格、重役などの目等)のために、各部署は組織に壁を造ってお互いに競争していきます。 競争が会社にとって良い方向に行けばよいのですが、努力の方向も、社外に向けてより社内のトップに向いてしまい、自組織の存在感を上げるためだけに、社内向の展示会、発表会でPR合戦をくり返したあげく、無駄な工数をかけていくことがあります。

大企業の中で組織が増えすぎてしまうと各組織が微妙に考え方が違うし、価値観も違うためにいろんな意見が出てきます。挙句の果てに「船頭多くして船山に登る」という言葉の状態になってしまいます。また組織が増えすぎてしまうと一つの問題とか不具合が現場に発生した時に、 どこの組織も微妙に関係者であるがためにその不具合とかを把握しようということで各組織から代表の人がそこの現場の周りに集まって腕を組んで見るような状況になります。実作業者はほんの2~3人なのに、いろいろな組織、役割、立場の人が報告を求めてきて現場はパニック状況になってしまいます。

11.溺れる者に石持たす  

不具合の発生時の報告の山は、解決を遅らせる理由の一つ

  モノづくり業務でピンチでパニックになっている状況の人に対しての話です。事件が起こると各関係組織は自分事ではないにしろ、状況を各組織の上に報告する必要があります。そのためパニック状態の当事者に対して詳細報告、説明の山となってきて、余計に当事者がおぼれてしまう状況です。

 「溺れる者に石を持たす」 とは、橋の上から溺れる人に対して、原因追究して資料をまとめて皆がわかりやすく納得できる対策を考えて早く報告せよという宿題を次々浴びせることです。担当者にとっては先に逃げ道をふさがれてたたかれている感じであります。一刻も早く対策しなければならない担当者は、むしろプレッシャーに感じます。橋の上ではなく同じ目線に降りて、担当者の邪魔をせずに対策に集中させることです。関係者は上に立たずに、同じ目線に降りてきて、担当者にいらない報告資料と下要求せずにとにかく早く進むような考慮が必要であります。特にエンジニアでしたら橋の上から下に向かって責めるのではなく、一緒に飛び込んで流れを助けてあげるような行動をしてあげてほしいものです。

12.長い歴史で仕事分担が固まってきた組織をかえるには一度解体、取り潰したほうが良い

長い年月で仕事の流れが出来上がった大組織の中で変化を求めるときの話です。 A と B の組織が発達して、時代の変化に基づいてAの仕事の一部をBの仕事に移そうと考えています。しかし今までの長い歴史の中で A と B の仕事の分担というものが明確に決まっているために、それを変更するということがなかなか反対が多くて進まないことがあります。どんなに組織長が改革と言って旗を振っても総論はわかるけど各論はなかなか変わることはできません。各組織も今までの既得権というものを捨てきれずに自分の仕事にしがみついております。 こういった時の方法は、思い切って一度組織を解体して新しく A と B と C という組織を作り上げるというような考えの方が意外とうまくいくことがあります。

13.追い風ははったりからもらう

 トップに提案して稟議を通したいと思っています。色々な情報が交錯している社内においてトップはなかなか判断しづらいとこだと思います。ただ資料を作って持って行って説明するだけではゴーはかからないことは多いです。ある程度はインパクトが必要です。簡単な実験装置のようなものを作って出来ること効果があることを説明します。物を実際に目にすると、一気に現実的になり、できるかもといったトップの判断をもらえるわけです。石橋ばかりたたいて、いつまでも資料やデータ集めだけでは一向に勢いがつかないかもしれません。そのうちに自然消滅します。追い風は自分から起こすもので、待っていても一向に進展しないものです。

追い風の向きはどっちだ

 会社全体の風の向きを読んだ上で新しい開発技術にチャレンジしようと思っています。ある一担当者の話に載ってしまってもその上司、役員の意向に沿ってないケースがあります。また、役員や部長の交代時期が微妙に重なることもあり、何に興味があるかもわかりません。つまり、技術論や『やるべき』論のみでは決まらないことも多いですよ。政治の世界を読み取ることも必要です。

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14.仕事を膨らますより、守りに人を当てる。肝心の物つくり業務が無くなる

 大手のものづくりの組織においては色々な管理がされてきます。それは本社の色々な事務局からの管理とか、各部門からの管理項目と、○○企画部署とかいう管理項目とか色々なことがあります。こういった各管理項目に対してデータとか状況をそれぞれ提出する必要が出てくるようなムードになってきます。それが恐怖政治に発展すると各組織内に自分たちを守るために小さなサブ事務局組織ができてきます。会社全体から見るとひとつの管理項目に対して、全体管理する組織やら、 各部署のサブ組織とか、各グループごとのサブ担当者とかいった役割がどんどん出来ていて、全体としては大きな工数が発生していることもあります。

中小と大企業の違い

15.中小企業と大企業の心配事

 崖っぷちに立つ小さな会社は先が見えずに心配の日々の連続です。社内の育成はOJTで行うレベルで、体系的なマニュアルや報告会は工数がもったいない状況です。ある意味緊迫感はあるが、そこに勤めている組織全体の育成とかレベルアップという面で見ると心配な面があります。また、大企業の場合は、各部署の社員たちは寄らば大樹で、会社への意識はぼやけて自組織のために走り、トップへ対してPR合戦を行うことが優先度は高いです。一見メーカーといった協力会社様をうまく使う人が大きな仕事をしたように見えます。成果を求められ失敗が嫌われて、自分からリスクを覚悟で提案する人が少なくなっていきます。

16.機械のクリエイトと導入をめぐる各組織の人たち

  機械のモノづくりにおいて、四つの立場についての違いを説明します。その機械を使って生産する組織におけるトップの人と実担当者の人。そしてその機械を開発してクリエイトしていく組織とか会社のトップとその機械を開発している実担当者の人。 以上の四つの人の立場とか思いといったものは、 総論は同じとしても各論はそれぞれ微妙に違うところがあります。 四つの思いは、 総論は同じでも各論は違います。

機械のモノづくりにおいて、四つの立場についての違いを説明します。その機械を使って生産する組織におけるトップの人と実担当者の人。そしてその機械を開発してクリエイトしていく組織とか会社のトップとその機械を開発している実担当者の人。 以上の四つの人の立場とか思いといったものは、 総論は同じとしても各論はそれぞれ微妙に違うところがあります。

 生産ラインで製品を量産している 組織長の思いは、現状を変えて効率を大きく上げたい、成果を出したい、 という将来に向かっての大きな願いというのがあります。しかも自分がこの組織長である間に成果を確実に上げていきたいという思いも強いです。 生産ラインで部品を量産している担当者の方の思いというのは、日々の生産に責任を持って取り組んでいるために、あまりチャレンジャーブルなことはしたくないという思いで、大きなリスクとかは避けて怪しい技術を導入するのは波風を立てないでほしいという思いが強いです。

 それではその機械をクリエイトして生産ラインへ導入する側の組織とか会社の思いについて説明します。機械メーカーの経営陣とかトップの方は、まず売上をアップして利益を出すことが第一優先に考えられると思います。そのため技術的な完成度とか評価と言ったことは頭では分かっているが、意外と腹に落ちていないために、機械の姿は見えてきたらすぐに市場に投入して打っていきたいという気持ちが強いです。機械メーカーの実担当者の思いとしては、自分たちが生み出した機械が正常に流れて行く自信をしっかり確認して導入したいというところでしょう。中途半端では納入先に張り付き状態になってしまって大変な苦労が待ち受けているために、 まだ評価するところがあるということで導入はいまいち積極的ではない考えがあります。

17.中小企業の課長さんの悩み

 機械のモノづくりにおいては、本当の技術や実力が問われます。大企業で組織の中で課長のポストを受け持っていたとしましょう。大手では人数も多いし、部署間の異動なども盛んなため個人の実力だけで無しに、課長、次長、部長などの肩書がある程度忖度されます。多少現場の知識に乏しく実力が無くても組織のメンバーは程々指示に従いますし、いうことも聞いてくれます。上の人は自分がそれなりに神輿に担がれていると思われるかもしれません。心からメンバーに信頼されているかどうかはわかりませんが。しかし、中小企業では少し様子が違います。大手から転職してきた役職の人でも、実力や能力をしめして手本を示したり、背中を見せる中で周りのメンバーは力を認めて話を聞き始め、指示にも従い始めます。大手でそれなりに出世して肩書がある方でも中小では通じません。実力が無い状態で課長などのポストに就くと3か月でメンバーから見抜かれて誰も言うことは聞かなくなります。課長さんもだんだん阻害されている感覚を受け取って忖度しておとなしくなって活躍は出来ない状況になってしまいます。転職するときは、自分の実力、能力をしっかり自分で見て判断しないと大きな選択ミスによる後悔に陥ってしまうかもしれませんので注意して下さい。

中小の注意事項

18.仕事を受けれる条件かを見極める

 機械づくりの中小企業メーカーに対して、リスクを含んだチャレンジ的な一品ものの機械クリエイトの依頼が来た時です。 

  当然気にすることは、 原価、 日程、 技術的に自社で保有している技術であるかどうかが受注に向けての判断材料でしょう。しかしこれ以外に気にするべき点があります。

  オリジナリティがあって当社独占の技術なのか。これ一台きりで終わるか、リピート的な話があるかどうか。話をいただいた依頼部署、会社がどんな組織で政治的な動きはないのか。そして依頼された機械を完成しても実はライン全体で見た時にもっとネックになる開発設備が周りの工程に潜んでいるのではないか。 この辺りも判断すると安心です。

19.この依頼話は本命なのか?

 モノづくりで機械を提供するメーカーの話で、大手のお客様から開発機械の依頼が来ました。今までの技術を大きく覆す開発テーマの依頼ですが、本当にこんなことができるのか若干心配もあります。機械メーカー側としては、なかなか情報を得ることは難しいかもしれませんが、この計画の動きは本当に本命なのかどうかを確認できたら嬉しいです。中には、ABC案が三つ同時に走っていてその中の一つだったケースもあります。ハードルが高いほどよくあるパターンで、新しいことにチャレンジしたけど結局従来技術で落ち着くといったケースも多いです。意外とよくあるパターンが、従来技術を古いと言うのもけっこうですが、完成度が高いから今まで使われているわけでありまして、新しいことにチャレンジしたけど結局元の技術で落ち着くといったケースも多いです。

20.大手企業の客先トップの考えの影響力の大きさ

 中小企業の報告に対して大手の部長クラスの人が思い描いている考えの影響力について述べます。例え中小企業の訴えが正しくて、部長の受け取り方が間違っていたとしても、大手の社内では、その部長の声が大きく反映されて、中小企業の話そのものを受け入れてくれることはなかなか難しいものです。その部長の誤解を解くか、部長の話を広げないためにその下の次長や、課長に説明して、なんとか理解を得て、その部長の考えをあまり声を大きくしないでくれという風に持っていくことです。中小企業の人が報告したけど理解が得られない時、中小のトップが「〇〇部長が誤解している」とボヤいたとこで収集しないです。その大手の部長から話がどんどん広がっていくために非常に後でやっかいなことになってきます。報告した人はそこで諦めずにもがいて周りを攻めていく行動が必要であります。特に中小企業にとって都合の悪い話は、その部長の関係部署とか関連しそうなとこに、先に早めに誤解を解くような正確な情報を入れ込むことも必要であります。何もしないでほっておくと、誤解が関連部署とか上とか周りに展開されてしまうことが怖いことです。

他部署のトップも各部長クラスには良い顔をお互いにして話を受け入れていくために、初めて聞いた話に対して反論することなく納得してしまうでしょう。 後でそれが間違ってるとしても、いい顔をする風土が残っているために、実はそれは違うよと反論するような人はまずいないです。つまり誤解した部長の周りには、その部長が話を展開するより前に正確な情報誤解を解くような話を植え付けておかないと、誤解した部長が話をした時にいやそれは違う、自分はこう聞いていると助けてくれる人がなくなってしまうことになります。スピードが肝心であります。

21.中小企業の人材流出

  大企業の場合はそこの組織に適してない場合、他の部へ異動したいと思う人材は多いでしょう。自分の将来を考えて転部について上司と相談することもありでしょう。しかしこれはリスクもあって、転部希望する人材については今の仕事が気に食わないという判断も大なり小なり上司から受けてしまうかもしれません。

  中小企業の場合はこの仕事はあまり好きではないという考えを抱いた人材については、普段通り仕事をしながら水面下で転職活動を色々なサイトを使って密かに実施するのはほとんどであります。つまり、ある日突然上司に対して会社を辞めさせてくださいという話を持ってくるわけであります。 その時はもうすでに転職先とか日程も約束されていることが多いです。 会社としては止めることもできずそのままいきなり転職していくという状況になります。つまり大企業における他部署へのローテーション異動と言うことが、中小企業においては転職活動ということとほぼ同じという感じであります。

中小の生き残り

22.大手製造業や商社からの機械開発製作依頼の罠

 ものづくり現場の困りごとは、意外とどこも似たようなものであります。お客様から話が来た依頼でまず考えないといけないことは、そんなアイデアは誰でも思いつくはずなのに、なんで現状どこも現実になっていないのか?と思いを巡らせてみて下さい。そんなアイデアは、10年前に誰かが思いついてトライしているはずなのにと考えれば慎重になれます。この10年で画期的に技術的な何かが変わっていれば話は別ですが、何かがあるはず、ネックがあるはず、致命的な不成立の技術があるはずです。

23.メーカーとしての方法

大手の生産している会社から機械の発注が中小企業の会社に来た時の話です。中小企業の機械メーカーとしてはできるだけ具体的な 機械の話をお客様より聞き出すことです。抽象的な「きぼう」をたくさん口頭で述べて行かれるのを仕様書と受け取るととんでもない失敗行います。 「しようしょ」と「きぼうしょ」は違います。できるだけ具体的な機械の構造とか動きとか内容まで踏み込んで打ち合わせを進めることが大切だと思います。

 いきなり機械のコストを明言してはいけないです。大体いくらですかという質問には具体的な仕様が決まらないとあまり先走りして金額を言わない方がいいです。 一度金額的な話をすると後になってあの時いくらと言っとったじゃないですかという言い方に変わってきます。

 仕様書だけでなく担当者をよく見るようにしてください。担当者が、その上位に対し信頼され、話か出来る様な人だとうまくいくことが多いです。しかし、担当者が自分で判断できないし、決めたことも上位に対し説得できずにひっくり返されることが意外と多いです。担当者といくら打ち合わせしても、お客様が自分の組織内で話を出した時にひっくり返されて、その間で振り回されることが多いです。抽象的な話ではなく具体的な絵とか構造とかの資料を使ってコンセンサスを取るように勧めてください。

24.他のメーカーに商品をまねさせない方法

 自分たちが生み出した商品は競争力を持っていて維持し続けなければ負けてしまいます。競争力というのは、低コストである、高品質である、 省スペースでコンパクトということがあります。また技術力で真似されないものを持っているというのも競争力になります。あたりまえの要素を組み合わせただけの機械やラインはどこでも考えられるでしょう。製品の造り方を直接変えることのできる生産設備は独専できるものです。例えば特殊溶接法、塑性加工法、化学変化など色々あるでしょう。目で見えないブラックボックス化した技術や要素を 秘めている機械も競争力があります。例えば制御技術、特殊加工物、特殊材料、特殊鋼、セラミック、樹脂等の関係など。大型部品の構成物を自社で生産できるというのも競争力です。大型施設を使わないと造れない部品で構成した機械は自社でしか作りません。また、特許でおさえている技術を有しているものもいいでしょう。

25.仕事がGOしてから提出される見積書の罠

  依頼者が機械を発注するときに、機械メーカーがよく使う手に注意してください。指定でメーカーに仕事を依頼する時、日程がきついため、発注者もメーカーの先行の段取りを了解して仕事が始まります。しかし、見積り書の再度の提出要求に対してもなかなか提出してこないのは理由が有ります。

  モノづくりを実施する機械メーカーは一度出した見積りは修正しにくいため、仕様が100%決まるまで提出しないケースがあります。仕事をGOして、日程がかなりすぎて、もはや他メーカーに振りもどすことが不可能な状態になった後で、高い見積りを提出するケースもあります。相見積りもなく、日程もなく、しかも仕事がすでにGOしているため、その見積りを認めるしか手がなくなるということです。これは悪意を持って遅らせるわけではありません。リスクの多い初物物件はなかなか中身が固まらないために見積もりが立てれないということがかなり影響してます。依頼者側がタイムリーに仕様を社内で取りまとめて機械メーカーに連絡することです。無理やりの見積もり書提出は、機械メーカーにとって博打になってしまいます。

26.中小企業がつぶれるのは、高負荷の後の低負荷

 景気の良い状態に甘えて、リピート的な、ただ量をこなす物件を、山ほど1つの組織に投入し続けた後、景気の変化で一気に低負荷に転落してしまうことが組織の滅亡につながります。つまり、バブルで安心感が生まれ、楽なリピートに走り、自らの実力を上げたり、次の目玉の準備、育成といった行動も起こさない状況が続くと、技術力の低下から仕事が激減した時に、自分等の実力のなさ、バブルの甘えから動きが取れなくなるということです。景気がいい時にこそ、次の一手、育成、仕込みを忙しい中にも取り込んでおくことです。

27.設備仕様は組織場細分化するほど高額

一人の担当者が仕様から設計、製作、号口まで担当するとすべて自分の責任範囲で最適な見積もりができる。複数の担当組織が絡むと、安全を見て責任回避のためにバランス感覚なく膨大に要求して高くなってきます。ベテラン技術者がトップで采配を振るうと見積もりもバランスよく踏みとどめることができるが、若手だと各部署の一方的な要求の山を親切に対応しすぎて高くなってしまいます。

28.メーカが設備立会いを受けるにあたっての本音

  一品ものの機械を設計製作して納入する時には、確認のために依頼した方々との立合いというイベントがあります。汎用設備の場合はリピートで何台も製作するため完成度は極限まで高めていることでしょう。しかし、一品もの設備だと毎回設計してその一台だけ製作するため、完成度はそこまで高くありません。そういう状況で立合いを受けるときの心構えです。

 機械の機能的な不具合は絶対に出してはいけませんし、あっても必ず修正しきるのは当たり前です。しかし、立合いで指摘される項目は意外とそれ以外の項目が多いです。表示とか銘板など細かいことが多いです。この時に立合いで指摘をいただくのは恥ずかしいことだと、完全合格を目指す方もおられます。しかし、100点を立会いで取るには300点の努力、造りこみをした上で初めて可能になるものです。ここで曲者の機械メーカの場合、300点の努力を払っての100点合格より、90点の造りこみで90点をいただくことの考えもあります。費用に姑息なやり方ですが、残りの指摘を立会いの中で指摘してもらって、そこだけつぶしていく方が全体の完成度アップの工数がかからなくて楽と考えるメーカーです。100点を狙うために300点の工数を投入するより、指摘いただいて『すみません』の低姿勢で修正した方が近道ということです。さてどちらが正解なのでしょうか? それに、立合いでは指摘件数はあきらめることです。立合いに来られる人は、各人何件か指摘しないと仕事をした気持ちにならないです。したがって、重箱のすみをつついて細かい指摘を記載するケースもあります。機械を提供する側は、機能的不具合は絶対に直すとして、細かい点は指摘されたことを修正していくという交渉もありです。立会い者はニコニコで気持ち良く仕事を終えます。立ち合いに来る人は、品質、剛性といった重要部分には目がいかず、表示とか細かい干渉、ホースのすれ、カバーの隙間などばかり指摘していかれます。 本当は件数議論でなく、本質的なことに議論、パワーをさきたいものですね。

仕組みと事務局のてんこ盛り

29.事務局が頑張りすぎると株の組織内にミニ事務局が発生

 大きなモノづくりの組織内部では、実務部隊のほかに間接部門として多くの事務局が存在します。事務局が巨大化したり、自分の仕事に張り切りすぎるといかがなものかと感じる場合の話をします。金のオーバー、日程の遅れなど問題が発覚した時は、関係している自分に追及が来るのを恐れて、その前に報告会をセットして、不都合を発生した部署から報告を実施させます。説明責任を果たさせることであるが、心の内は、自分は事務局であり、関係はしているが、直接責任は自分ではないということを示すためでもあります。コスト担当、品質担当、安全担当、環境担当、日程担当、調達担当、と各事務局を細分化してそれぞれが勝手に走り出すと各事務局は実行担当部署の設計Gに、データーの提出、報告会、会議体のセット、イベントのセット、帳票の連発が発生します。事務局は局部的な責任範疇で全力で仕事するが、結局実行する1グループには各事務局からいろいろな依頼が来るわけです。本来の仕事が出きなくなるのです。

30.不都合な報告は事務局は報告会のみセットして傍観者になる

 大きなモノづくりの組織内部では、実務部隊のほかに間接部門として多くの事務局が存在します。事務局が巨大化したり、自分の仕事に張り切りすぎるといかがなものかと感じる場合の話をします。金のオーバー、日程の遅れなど問題が発覚した時は、関係している自分に追及が来るのを恐れて、その前に報告会をセットして、不都合を発生した部署から報告を実施させます。説明責任を果たさせることであるが、心の内は、自分は事務局であり、関係はしているが、直接責任は自分ではないということを示すためでもあります。コスト担当、品質担当、安全担当、環境担当、日程担当、調達担当、と各事務局を細分化してそれぞれが勝手に走り出すと各事務局は実行担当部署の設計Gに、データーの提出、報告会、会議体のセット、イベントのセット、帳票の連発が発生します。事務局は局部的な責任範疇で全力で仕事するが、結局実行する1グループには各事務局からいろいろな依頼が来るわけです。本来の仕事が出きなくなるのです。

31.アンケートのマジック

 各企業で社員のアンケートを取ってマネジメントの意識調査などを実施しているところは多いと思います。このアンケート結果で、グループ長、課長、部長のマネジメントを部下たちがどう思っているのかを判断するわけです。これに意識しすぎる上層部やマネージャーはこの数字すら上げようと行動する方も見受けられます。アンケート結果を瞬間的に挙げる方法もあります。アンケートの時期の直前に、各Gや現業メンバーとの職場懇談会をやたら開けばよいのです。また、アンケート説明会を開いて、この質問の意味は、○○○と丁寧に勉強会を開催することもあります。瞬間的ではあるが、その時に任された管理者としてはいい結果が出るかもしれません。しかし、この数字が良いから会社に貢献しているかどうかはわからないものです。部下に優しすぎる上司は上や会社から見ていかがなものかもしれません。

32.見える化でなく見せる化になっている

 新しい事務局の担当者が、張り切って行うことに、見える化がよくあります。 しかし、見える化が目的になって、本質的な業務を変えることには至っていないこともあります。単なるデータ整理と見える化だけの手段を、最終ゴールにしている仕組み造りが膨らんでいきます。事務局ばかりが、人員と工数が膨らみます。 管理業務に徹して、人の内容をひたすら見える化するだけです。本当に忙しい部署の助けをするつもりで、トップは走り出すのであるが、しょせん事務局の管理のみに徹する組織メンバーには、実際の責任があるわけではないので、突き上げの材料つくりに全力を挙げるのみになってしまいます。自分で見たいから見える化に取り組んでいるのであって、実担当の業務遂行組織にとっては見せる化であります。

33.ルールとしくみを撤廃する良い方法(やめる方が難しい)

  やりすぎと思えるほど、くどい仕組みがありますが、いざこれを撤廃しようとするとパワーがいる物です。特に、その仕組みを作った時に、そこに存在していた人やかかわっていた人は、それを一度認めたという立場のため、自分から撤廃は言い出せないです。また、そのような仕組みは大なり小なり物事を良くするために出来た仕組みですから反対しずらいでしょう。ただ、工数がかかるのがネックです。やめるためには、外部から新しいトップが移動してきて役についたときに、その過去にしがらみのないトップの方がうまく大儀名文を作って撤廃するのがやりやすいです。物事は始めるより、やめるほうがパワーがいるものです。

大手と中小企業で30年以上にわたって自動車のあらゆる生産機械をクリエイトする仕事をしてきました。機械を開発、設計、製作していくそれぞれの組織や立場における事件と行動、白紙からモノを考える技、会議やプレゼン、技術的トラブルについて参考になればと思っています。

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